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暗号作成者 vs 暗号解読者の結末は?『暗号解読(下)』

どんな暗号に興味がありますか? 誰にでも簡単に扱えるシーザー暗号か。 未だ解読されていない暗号文書か。 軍事機密を保護するための暗号か。 ヒエログリフや線文字Bなどの暗号のような古代文字か。 インターネット通信の暗号技術か。 原理上、解読不可能な暗号か。 『暗号解読』は暗号作成と解読の歴史をまとめた本ではありますが、そこにはさまざまな人間ドラマがあり、壮大なロマンを感じる1冊でもありました。 暗号という秘密めいた響きにはそれだけで興味を惹かれますが、著者が前書きで語っている「暗…

2023/03/03

史上最強の暗号機エニグマの解読はなぜ難しかったのか『暗号解読(上)』

『暗号解読』を読んだのは、映画『イミテーション・ゲーム』を観て 暗号機エニグマ に興味を持ったからでした。 エニグマは、第二次世界大戦でドイツ軍が使用した史上最強と言われる暗号機です。 エニグマによって生成される暗号は非常に複雑で、解法(鍵)のパターンは159,000,000,000,000,000,000通り。しかも鍵は日替わりで変わる。 人力で鍵を突き止めるのは事実上不可能で、連合軍側にはエニグマを解読する機械の開発が求められました。 『イミテーション・ゲーム』では天才…

2023/02/17

『さあ、才能に目覚めよう』自分の強みを知るヒント

「あなたの強みは何ですか?」 と聞かれるのが一番嫌いです。 就職活動や転職活動、社内面談などで、この質問に苦しめられた人も多いのではないでしょうか。 自分の強みを知るには自己分析をなどと言われますが、私が思うにそれも結局主観性からは逃れられないし、本人申告の強みにどれほどの信憑性と意義があるというのか、と思ってしまう。 (いやそれは自己分析力を見てるのだよというのはわかるけども) 『さあ、才能に目覚めよう』は、自身の強みを発見するために開発された診断テスト 〈ストレングス・ファインダ…

2023/02/15

『博士と狂人』原作:実話と思えぬ稀有な悲劇〜世界最高の辞書OED誕生秘話

イギリスが誇る英語辞書『オックスフォード英語大辞典』通称 OED の編纂には、精神病院に収容されていたアメリカ陸軍の元軍医が多大な貢献を果たしていました。 元軍医の名はウィリアム・チェスター・マイナー。 精神異常により殺人の罪を犯し、その後の生涯のほとんどを精神病院で過ごした人物です。 『博士と狂人』は映画も出ていますが、原作は映画とは違ってノンフィクションで、OED の編纂主幹ジェームズ・マレー博士と「狂人」マイナー博士、2人の人生と交流を中心に大辞書の誕生話が綴られています。

2023/02/01

『外国語上達法』ユーモアあふれる語学上達の指南書

『外国語上達法』 は非常に楽しい語学本です。 これから語学を始める人に向けて、語学学習の基本と心構えをユーモアたっぷりに説いてくれる。 著者は1932年生まれの千野栄一先生という言語学の先生(専門はスラブ語学)なんですが、ほんっとうに文章がうまい&面白くて、ご自身のエピソードを交えながら語られるアドバイスの説得力と面白さといったらない。つい引き込まれるし、何度も笑いがこぼれるほど。 そして内容は網羅的かつ要点が押さえられていて、濃い。 驚くべきことに、この本は1986年出版であるに…

2023/01/27

『外国語学習の科学』第二言語習得の仕組みを知って語学学習に活かす

私が 『外国語学習の科学──第二言語習得論とは何か』 を最初に読んだのは、スペイン語学習に行き詰まり、何をやっても上達を感じられなくなっていた頃のことでした。 スペイン語圏で暮らし、ある程度話せるようになり、そこまで不自由はなくなったが、そこからが一向に伸びない。 何でも良いからとにかく語学上達のためのヒントがほしい、と思って読んだ本です。 この本は、いわゆる語学学習のハウツー本ではありません。 「第二言語習得論」つまり 外国語を習得するとはどういうことか を、興味深い研究成果と…

2023/01/23
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